近年、サウナ人気の高まりを背景にサウナの開業を検討する方が増えていますが、実際には初期投資や運営コスト、物件条件など押さえるべきポイントが多く、準備不足のまま始めると失敗につながるケースも少なくありません。

サウナ開業を成功させるためには、市場動向や収益構造を理解したうえで、計画的に準備を進めることが重要です。

本記事では、サウナ開業の流れから費用の目安、必要な資格・許可、物件選びのポイントまでをわかりやすく解説します。

これから開業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

サウナ開業は儲かる?

サウナ開業を検討している方の中には、「サウナは本当に儲かるのか」「ブームが落ち着いた今でも事業として成立するのか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

サウナは一定の需要があるビジネスである一方で、初期投資やランニングコストが大きく、収益化には綿密な設計が求められます。特に近年は市場が成熟しつつあり、単に開業するだけでは利益を出しにくくなっている点には注意が必要です。

サウナ開業を成功させるためには、市場の動向や収益構造を正しく理解しておくことが重要です。

ここではまず、サウナ市場の現状と、サウナ経営の収益イメージを見ていきましょう。

サウナ市場の現状

サウナ市場は、コロナ禍をきっかけに急速に拡大しましたが、現在はピーク時と比べるとやや落ち着きを見せています。

出典:https://kyodonewsprwire.jp/index.php/release/202503075340

実際に、日本サウナ総研の調査によると、サウナ利用者数はピーク時と比べて減っており、特に年1回から2~3か月に1回程度サウナを利用するライトユーザーの減少傾向が顕著です。

一方で、サウナを習慣的に利用するミドルユーザーやヘビーユーザーは依然として多く、比較的安定した需要があるといえるでしょう。

このような背景から、現在のサウナ市場は「ブーム型」から「定着型」へと移行している段階といえます。

そのため、これからサウナを開業する場合は、不特定多数に向けた施設よりも、特定のターゲットにしっかり刺さるコンセプト設計が重要です。

【参考】日本のサウナ実態レポート2025 ~サウナブーム、コロナ渦を経た利用実態に迫る~

サウナ経営者の平均年商

サウナ経営者の年収は、立地や業態、規模や経費によって大きく異なるため、「平均年収はいくら」と一概に断定することは難しいのが実情です。

一方で、利用単価や営業日数などから、ある程度の年商をイメージすることはできます。ただし、収益モデルから逆算することで、ある程度の目安を把握できます。

たとえば、小規模な個室サウナを想定した場合の収益イメージは以下のとおりです。

  • 利用単価:8,000円/(部屋単価)

  • 1日の利用者数:10組

  • 月商:約240万円(月30日営業の場合)

  • 年商:約2880万円

利用単価:2,000円

  • 1日の利用者数:10人

  • 月商:約60万円(月30日営業の場合)

  • 年商:約720万円

ここから、家賃・光熱費・人件費・消耗品費などを差し引くと、年収は300万円〜500万円程度に落ち着くケースが多いと考えられます。

一方でさらに、都市部で高単価設定にしたり、回転率を高めたりすることで、収益性を大きく向上させることも可能です。

たとえば、103,000円以上の価格設定や、予約管理の最適化による稼働率の向上、物販や会員制の導入などを組み合わせれば、年商年収13,5000万円以上を目指すこともできます。

このようにサウナ経営は、市場の大きさよりも収益設計によって成果が左右されやすいビジネスだといえるでしょう。

サウナ開業にかかる費用

ここでは、サウナ開業にかかる初期費用とランニングコストについて、それぞれ具体的な目安をもとに解説します。

初期費用

サウナを開業するには、サウナ設備や内装工事、給排水・電気設備の整備に多くの初期費用がかかります。

主な初期費用の内訳は、以下のとおりです。

  • 物件取得費:保証金・礼金・仲介手数料など

  • 内装・施工費:サウナ室・外気浴スペースなど

  • サウナ設備費:サウナストーブ・ベンチ・水風呂など

  • 設備工事費:電気容量の増設・給排水設備の整備など

  • 備品・什器:ロッカー・受付設備・アメニティなど

たとえば、小規模な個室サウナであれば500万円〜1,500万円程度で開業できるケースもありますが、立地や設備のグレードによってはそれ以上になることも珍しくありません。

また、大型の温浴施設や複合型サウナでは、数千万円〜1億円以上の投資が必要になることもあります。

ランニングコスト

サウナ経営では、開業時の初期費用だけでなく、日々の運営にかかるランニングコストも重要なポイントです。

特にサウナは電気や水を多く使用するため、一般的な店舗ビジネスと比べても固定費が高くなりやすい傾向があります。

主なランニングコストは、以下のとおりです。

  • 光熱費(電気代・水道代)

  • 家賃

  • 人件費

  • リネン費用(タオル・マットの洗濯や交換)

  • 消耗品費(アメニティ・清掃用品など)

  • 広告費

中でも大きな割合を占めるのが光熱費です。サウナストーブの稼働や水風呂の維持には多くの電力・水が必要となるため、月に10万〜数十万円以上かかるケースもあります。

また、タオルやマットの交換頻度が高いため、リネン関連のコストも継続的に発生します。

ランニングコストを合計すると、小規模施設でも月数十万円〜、人件費を含めると月100万円以上になることも珍しくありません。

サウナ開業に必要な許可・資格

サウナ開業に必須の資格はありません。

ただし、誰でも自由に営業できるわけではなく、法律に基づいた営業許可の取得が必要です。

サウナ施設は、公衆浴場法に基づいて「その他公衆浴場」に分類されるケースが一般的です。

そのため、開業するには各自治体(保健所)への申請を行い、営業許可を取得しなければなりません。

また、許可取得にあたっては、以下のような基準を満たす必要があります。

  • 衛生管理(清掃・換気・水質管理など)

  • 設備基準(浴室・脱衣所・給排水設備など)

  • 構造基準(面積や配置など)

さらに、建物の用途や設備によっては、消防法や建築基準法に関する確認・届出が必要になる場合もあります。

特にサウナは高温設備を扱うため、防火・安全対策は厳しくチェックされるポイントです。

サウナを開業する流れ

ここでは、サウナ開業までの基本的な流れをステップごとに解説します。

サウナのコンセプトや種類を決める

まずは、どのようなサウナを開業するのかを明確にします。

個室サウナ・大型施設・テントサウナなど業態によって必要な設備や費用が大きく変わるため、方向性を最初に定めることが重要です。

また、「誰をターゲットにするのか」「どのような価値を提供するのか」まで具体化することで、後の物件選びや価格設定がスムーズになります。

事業計画書を作成する

コンセプトが固まったら、事業計画書を作成します。

事業計画書では、初期費用やランニングコスト、売上見込み、利益計画などを具体的な数値で整理しましょう。

特にサウナは設備投資が大きいため、収支の見通しを立てておかないと資金不足に陥るリスクがあります。

なお、事業計画書は金融機関から融資を受ける場合にも使うので、現実的な数値をもとに作成することが重要です。

開業資金を調達する

事業計画書をもとに、開業に必要な資金を調達します。

自己資金だけで賄うケースもありますが、多くの場合は銀行融資や日本政策金融公庫の融資を活用します。

特に日本政策金融公庫は創業融資に強く、無担保・低金利で借りられる可能性があるため、初めて開業する方にも利用しやすい選択肢です。

資金調達の可否は事業計画の内容に左右されるため、収益性や実現可能性をしっかり示すことが重要です。

 サウナの開業費用には助成金・補助金が使える可能性も

サウナ開業では、条件を満たすことで助成金や補助金を活用できる可能性があります。

代表的なものとして「新事業進出補助金事業再構築補助金」があり、新規事業としてサウナ事業に取り組む場合に対象となるケースがあります。

採択されれば、設備投資や内装工事費の一部を補助してもらえるため、初期負担の軽減につながるでしょう。

ただし、申請には事業計画の提出や審査があるため、早い段階から情報収集を行うことが重要です。

物件を選ぶ

サウナ開業において、物件選びは収益性を左右する重要な要素です。

立地はもちろん、電気容量や給排水設備、排気の確保など、サウナ特有の条件を満たせるかを事前に確認しましょう。

特にサウナストーブは高出力の電力を必要とするため、電気設備の増設が必要になるケースも少なくありません。

また、居抜きの温浴施設やジムなどを活用できれば、初期費用を抑えられる可能性もあります。

条件を満たす物件は限られるため、専門業者と連携しながら慎重に選定することが重要です。

サウナ施設の施工を行う

物件が決まったら、サウナ施設の施工を進めましょう。

サウナは高温・多湿環境となるため、断熱・防水・換気といった施工品質が快適性や安全性に直結します。

そのため、設計・施工は専門業者に依頼するのが一般的です。

営業許可の申請を行う

サウナ施設を営業するためには、保健所へ営業許可の申請を行う必要があります。

サウナは「その他公衆浴場」に該当するため、施設の図面や設備内容、衛生管理体制などの書類を提出し、基準を満たしているか審査を受けましょう。

申請内容に不備があると手続きが遅れるため、事前に必要書類や基準を確認しておくことが重要です。

スムーズに進めるためにも、施工業者や行政書士と連携しながら準備を進めましょう。

消防署・保健所による施設の検査を受ける

営業許可の申請後は、消防署や保健所による現地検査を受けましょう。

サウナは高温設備を扱うため、防火対策や避難経路、換気設備などが重点的にチェックされます。

また、衛生面では水質管理や清掃体制、設備の安全性なども確認されます。

基準を満たしていない場合は是正が求められるため、事前に要件を把握しておくことが重要です。

検査をスムーズに通過できるかどうかが、開業スケジュールにも大きく影響します。

営業許可を取得する

消防署や保健所の検査に問題がなければ、営業許可が交付されます。

この許可を取得することで、正式にサウナ施設として営業が可能です。

なお、許可が下りるまでには一定の期間がかかるため、開業予定日に間に合うよう逆算してスケジュールを組むことが重要です。

また、許可取得後も衛生管理や設備基準を継続的に満たす必要があります。運営開始後も定期的な点検や管理を行い、安全で快適な施設運営を心がけましょう。

サウナ開業を成功させるためのポイント

サウナ開業は、一定の需要がある一方で、初期投資や運営コストが大きく、準備不足のまま始めると収益化が難しくなるケースも少なくありません。

そのため、開業前の段階で成功のポイントを押さえておくことが重要です。

ここでは、サウナ開業で失敗しないために押さえておきたいポイントを解説します。

自社にしかない差別化ポイントを用意する

サウナ開業を成功させるためには、競合施設と明確に差別化できるポイントを持つことが重要です。

たとえば、個室サウナによるプライベート空間の提供や、美容・リラクゼーションに特化したサービス、外気浴スペースの充実などが挙げられます。

また、オリジナルのサウナグッズを展開することで、ブランドの世界観を強化しつつ、物販による収益源を確保することも可能です。

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サービスや施設の質にこだわる

サウナ開業を成功させるためには、設備だけでなくサービスや体験の質にもこだわることが重要です。

近年はサウナ施設が増えているため、利用者に選ばれるには、滞在全体の満足度を高める視点が欠かせません。

たとえば、温度や湿度の管理、水風呂の快適さ、外気浴スペースの導線設計などは、体験価値に直結します。

また、清潔感のある施設運営や、スタッフ対応の質もリピート率に大きく影響するでしょう。

さらに、アメニティやサウナグッズの充実、予約のしやすさなど、細かな部分まで配慮することで、利用者の満足度を高めることができます。

まとめ

サウナ開業は、安定した需要がある一方で、初期費用やランニングコストが大きく、事前の準備や設計が成果を大きく左右するビジネスです。

特に近年は市場が成熟しつつあるため、「流行っているから始める」という考え方ではなく、ターゲットやコンセプトを明確にしたうえで戦略的に進めることが重要になります。

また、費用や許可、物件条件など、押さえるべきポイントは多岐にわたるため、段階的に整理しながら進めることでリスクを抑えやすくなります。小規模から始めて運営ノウハウを蓄積する方法も、有効な選択肢のひとつといえるでしょう。

これからサウナ開業を検討している方は、本記事の内容を参考にしながら、自分に合った事業モデルを検討してみてはいかがでしょうか。