安定した職業とされる教員という道を歩みながらも、SAUNA NOVA代表・加納 優誉の心は常に「挑戦」に向かっていました。日々の多忙な業務に追われるなか、ある日サウナの水風呂でふと「これだ」と直感した瞬間があったのです。その決意が、彼の人生を大きく動かすことに。やがて立ち上がったのが、SAUNA NOVA。ブランドの礎には、インフルエンサー“ととのえ先生”として親しまれた加納の体験と想いがあります。本記事では、サウナとの出会いからブランド誕生、そして未来への展望まで、SAUNA NOVA誕生秘話をお届けします。



1.導入   

あなたにとって、教員時代の“日常”はどんなものでしたか?


朝から晩まで授業準備に追われ、放課後は部活動。四科目を受け持っていたので、常に頭がフル回転していました。休みもほとんどなく、息つく暇もない毎日。担任として生徒と向き合う時間は尊いものでしたが、業務量が非常に多く、常に忙しい日々でした。」


そんな中で、サウナはどんな存在だったのでしょう。

「学生時代からサウナには通っていましたが、当時は正直そこまで良さが分かりませんでした。ところが教員になって業務に追われる中、ある休日に訪れたサウナでふっと肩の力が抜けたんです。水風呂に身を沈めた瞬間に“サウナで生きていこう”と直感しました。あの一瞬が、自分の進む道を決めました。」

 

人生を託すほどにサウナに惹かれたのは、なぜだったのでしょう。

20歳の頃から“いつかは起業したい”と思っていましたが、具体的なテーマは見つからなかった。でも、サウナなら一生を賭けられると感じたんです。教員を辞める決断は、やりたいことを見つけたから。シンプルですが、それに尽きます。」

フィンランドとの出会いもあったと伺いましたが。


学生時代に留学していた時、フィンランド人の友人と“なぜフィンランドは幸福度が高いのか”と話したことがありました。その答えが“サウナがあるから”だったんです。当時はピンときませんでしたが、教師生活に追われて忙しかった時に、その言葉がふっと蘇りました。まるで過去の体験が点と点でつながった瞬間のように感じました。」


2.転機:「人生一度きり、やりたいことは全部挑戦」

最初の挑戦はどのようなものでしたか?

「神奈川県某所で“サウナ付き貸別荘”を作ろうと準備を進めていたんです。物件探しには想像以上に時間がかかりましたが、約1年かけてようやく理想の物件に出会い、行政手続きの法令もクリア。資金調達も整い、2023年1月には賃貸契約を結び、工事を着工する予定でした。ところが2022年の大晦日、物件オーナーさんから「物件の買い手が見つかったので、その方へ譲ることになった」と連絡があった。その瞬間、頭の中が真っ白になりました。消防法や行政手続きの許可が下りるまで契約を先延ばしにしていたのは自分の判断であり、その結果として資金調達に協力してくださった方や設計士の方、さらにはフィンランドへの資材発注に関わっていた方々にご迷惑をかけることになってしまった。正直、落ち込みましたし悔しかったです。ただ、振り返るとこの挫折があったからこそ、同時並行で進めていたグッズ制作に全力を注ぐことができたのも事実です。施設だけではなく“グッズという形でも挑戦できる”という新しい可能性を見いだせたことは、今では大きな転機だったと前向きに捉えています。」

グッズ開発へと舵を切った理由を教えてください。

「最初に取り組みたかったのはサウナハットでした。サウナに入った時に“自分をリセットできる体験”を支えられるアイテムだと思ったからです。深部体温をしっかり上げるには時間が必要ですが、ハットがないと頭部が熱くなりすぎて、その前にサウナ室から出ざるを得なくなる。そこで“より良いハットを自分で作りたい”と強く思いました。 全国350以上のサウナ施設を巡り、数十種類のハットを試す中で、必ずもっと良いものが作れると確信したんです。そこからは試作に次ぐ試作の日々が始まりました。」


3.ブランド誕生:「SAUNA NOVA」に込めた想い

ブランド名「SAUNA NOVA」にはどんな想いがこもっているのでしょうか。

「supernova(超新星爆発)から着想しました。星が爆発し、新しい星として生まれ変わる現象は“誰もがありのままで、自分らしく輝ける”という僕の想いと重なります。高校で物理を教えていたこともあり、この現象をブランド名に活かせないかと考えていました。会社を立ち上げるときに掲げたビジョンは“すべての人が輝ける世界を作る”。勇気を持って一歩を踏み出すことで、自分らしさを世の中に届けられる。その姿をサウナを通して支えたいと思ったんです。そこから“サウナ”と“ノヴァ”を掛け合わせ、“SAUNA NOVA”と名づけました。」

 

4.製品開発の舞台裏

特に力を入れたのはサウナハットですね。

※Vaceous Sauna Hat Ver.1

「1年間で25回以上、試作を繰り返しました。特にこだわったのはデザインです。SAUNA  NOVAのサウナハットといえば象徴的な“曲線”。ただ、この曲線をきれいに仕上げようとすると、形が崩れたり、かぶり心地が悪くなったりと、本当に苦戦しました。 最初の試作品は“かぶる”というより“頭に乗せる”感覚で全く実用的ではありませんでした(笑)。試作作りでも失敗が続き、職人さんから“これでは商品にならない”と指摘を受けたこともあります。 それでも改良を重ね、ようやく辿り着いたのがVaceous Sauna Hat Ver.1。完成品を初めてかぶった瞬間は、胸が熱くなりました。試作品で感じた違和感がすべて解消され、デザインも機能性も理想に近づいた。まさに“一緒に旅する相棒”が生まれた瞬間でした。」

※Vaceous Sauna Hat Ver.2

「そこからさらにサウナハットは進化を続けています。最初に完成したVaceous Sauna Hat Ver.1の生地は表がTCツイル、裏地が麻でした。通気性が良く匂いが残りにくい強みはあったものの、シワがつきやすく、タオルなど他の繊維が付着しやすいという課題もありました。そうした声を受けて改良を重ね、Ver.2、そして現在のVer.3へと進化しました。Ver.2、Ver.3は表地にポリエステル100%、中綿に3Mシンサレート100%、裏地にポリエステル100%を採用した三層構造。断熱性や耐久性が格段に向上し、快適さと使いやすさを両立した仕上がりになっています。」

※Vaceous Sauna Hat Ver.3

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瞑想サウナポンチョの開発について教えてください。

「“ととのう”をさらに深められるアイテムとして開発しました。サウナから外気浴に出て、風を感じながらポンチョに包まれる。その安心感を形にしたかったんです。既存のポンチョは丈が短く、冬場は足元が寒かったので120cm以上の長さにしました。さらにフードを大きくして光を遮れるようにし、外気浴中に“自分だけの空間”を感じられるよう工夫しています。」

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5. クラウドファンディング成功の瞬間

クラウドファンディングでは大きな成果を収めましたね。

「CAMPFIREで目標金額に対して1,476%を達成できました。初日に30万円以上が集まったときは本当に驚きました。当初は全体で50万円ほどをイメージしていたので、想像以上の反応。特に印象的だったのは、身近な人たちが応援してくれたことです。フォロワーや友人、家族、さらには教員時代の同僚や教え子までもが支援してくれて、“先生が本当にやりたいことを見つけてよかった”“挑戦してよかったね”と温かい言葉を寄せてくれました。クラファンを通じて、売上や知名度以上に、“身近な人とのつながりこそ何より大切にすべきものだ”という気付きを得られたことが、大きな財産になりました。」

ドラマでの使用も話題になりました。

「篠原涼子さん主演の『イップス』でSAUNA NOVAのサウナハットを着用いただきました。あの出演をきっかけに、“ドラマに出ていたブランド”として一気に認知が広がりました。営業先でも「ドラマに出ていたサウナハットです」と伝えると知ってくださる方が多く、実績として大きく活きています。直接的な売上効果ももちろんですが、実績として大きく活き、後の『サウナ東京』とのコラボにもつながりました。今でも“SAUNA NOVAです”と伝えると“ああ、あのドラマに出てたよね”と通じます。ドラマに出たことはブランドのブレイクスルーの一つになったと感じています。」

※「イップス」(フジテレビ系、金曜21時)サウナハット使用シーン

6. 現在の展開

現在のSAUNA NOVAの取り組みについて教えてください。

「フィンランドの老舗メーカーMONDEXと日本独占契約を結びました。MONDEXには“RAKKA”というデザイン性の高いストーブがあって、意匠面への強いこだわりが感じられます。石に穴を開けて電熱線を通す独自の構造で、世界でもMONDEXにしか作れない特許デザインなんです。これはSAUNA NOVAが曲線のサウナハットで商標を取得しているのと同じで、“唯一無二”を追求する精神に強いシナジーを感じました。このサウナストーブを日本に持ってきたら面白いんじゃないかな、と直感したんです。もちろん課題もあって、ストーブは単価が高く輸入コストもかかるため資金的には簡単ではありません。それでも、ブランドとして挑戦する意義は大きいと感じています。現在はすでに施工中の案件もあり、今後は温浴施設への導入も視野に入れています。今後はMONDEXとSAUNA NOVAの世界観をより多くの人に届けたいですね。」

MONDEX RAKKA

「さらに、国内の温浴施設とのサウナハットのコラボレーションも広げています。最初は『サウナ東京』から声をかけてもらったことをきっかけに、今ではありがたいことに様々な施設とご一緒する機会をいただいて。コラボの際に大切にしているのは“世界観や考え方が共鳴するかどうか”。同じ想いを持つ施設とコラボすることで、より深くSAUNA NOVAの世界観を届けられると考えています。これからも、その想いを共有できる施設とは積極的にコラボさせていただきたいですね。」

※サウナ東京での展示の様子

7. 将来の展開

SAUNA NOVAの将来の展望を聞かせてください。

「まずは日本でSAUNA NOVAのブランドを育てたいと思っています。ブランドコンセプトは“最高のひとときを、身にまとう”。サウナに入る理由や“ととのい方”は人それぞれですが、その一人ひとりにとっての“最高のひととき”を支えられる存在でありたいんです。さらに、SAUNA NOVAのアイテムをきっかけに“もっと良いサウナ体験があるのでは”と探究心を持って、いろいろな施設に足を運んでほしい。そんな“きっかけづくり”をするブランドでありたいと思っています。」

「もう一つは海外展開。TATAMI SAUNA MAT(畳サウナマット)を中心にSAUNA NOVAを世界に向けて提案しています。畳という日本の伝統素材を取り入れた商品を通して、SAUNA NOVAをもっと知ってもらいたい。フィンランドのMONDEXとの関係性なども足掛かりに、現地の方々にも使ってもらえるように動いていきたいと思っています。サウナは世界共通の文化だからこそ、日本らしさを大切にしながら世界へ広げていきたいんです。特に大切にしているのは“日本のものづくりの丁寧さ”です。サウナハットにしても、製法は難しく雑に作ればすぐ形が崩れてしまう。けれど私たちは細部までこだわり抜き、長く愛用できるものを届けてきました。その姿勢こそ、日本ならではの商品力だと思っています。伝統文化や職人技を活かしたアイテムを世界に広めることで、“日本のサウナ文化”そのものの魅力も伝えていきたい。将来的には、サウナが好きな人がもっと増えて、探究心を持ってさまざまな施設に足を運び、友人を誘い合う。そんな循環が広がっていけば、サウナを通じて世の中全体が豊かになる。そこまで見据えて、挑戦を続けていきたいです。」

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最後にSAUNA NOVAの使命について教えてください。

「僕にとってサウナは“最高のひとときをくれる場所”であり、人生を懸けるに値するテーマです。だからこそ、サウナを通じて一人でも多くの人に新しい輝きを届けたい。それがSAUNA NOVAの使命です。大切にしているのは、“最高のひととき”をどう見つけるか――その探究心に寄り添うこと。サウナは誰かと同じやり方で“ととのう”必要はなく、一人ひとりにとっての答えがあっていい。SAUNA NOVAのアイテムは、その人らしい“自分だけのサウナ体験”を見つけるための相棒でありたい。そんな体験を支え続けることこそ、SAUNA NOVAが目指す未来です。」

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